眠りの聲(こえ)―宗久シリーズ小咄2―
「お前には、特別な力がある。父さんと同じ能力が……」





大きな手が、震える僕の髪を優しく撫でた。







「いいかい?宗久…彼等は必ずしも善良ではない。だから、決して弱みを見せてはいけないよ?そして、自分に出来る事だけをすればいいんだ。危険を感じた時は、見えないふりをしなさい。それが、お前の身を守る盾となる」










…………ごめんな。










僕を抱きしめ、小さく呟かれた父の言葉。









なぜ、父さんが謝るのだろう。



悪いのは、僕なのに。







見えないものに気付いてしまう、僕なのに。







悪いのは、僕なんだよ?

父さん。













逃げたい欲求と戦い続け、見えないふりをし続け、そうして年月が過ぎ………。





あれは、十三歳になったばかりの頃。








病気で他界した、同級生に会った。







(新庄には、姿が見えるんだね?)









彼は、家族へのメッセージを僕に託した。





伝えて欲しいと。






助けて欲しい……と。







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