眠りの聲(こえ)―宗久シリーズ小咄2―
4
「人はね、八坂。逃げたい葛藤は必ずあるものだよ。でもね、それと向き合う事ができて初めて、成長があるんだ」
風が、川原の草を揺らす。
川面の水をざわめかせる。
月は、夜の闇を照らしている。
しんしんと、僕と八坂に光を注いでくれる。
静かな夜。
穏やかな月光が作り出した、異空間の様。
「私……」
八坂が、呟いた。
顔を向けた僕の隣で、ゆっくりと膝を抱える。
「私、このままじゃいけないって分かってる。でも……怖い。何も変わらないんじゃないかって……だから…」
「そのまま、眠っていたい?」
僕の問いに八坂はうつむき、薄めの唇を噛み締める。
「………夢を見ている方がいいよ。現実は見たくない」
「…………もったいないな」
僕は笑った。
笑いながら立ち上がる。
「八坂もわかるだろう?この景色の美しさ。川も月も、眠る桜の木々も、全てが生きているとは感じないか?」
八坂は、顔を上げた。
静かに、僕を見上げる。
.
風が、川原の草を揺らす。
川面の水をざわめかせる。
月は、夜の闇を照らしている。
しんしんと、僕と八坂に光を注いでくれる。
静かな夜。
穏やかな月光が作り出した、異空間の様。
「私……」
八坂が、呟いた。
顔を向けた僕の隣で、ゆっくりと膝を抱える。
「私、このままじゃいけないって分かってる。でも……怖い。何も変わらないんじゃないかって……だから…」
「そのまま、眠っていたい?」
僕の問いに八坂はうつむき、薄めの唇を噛み締める。
「………夢を見ている方がいいよ。現実は見たくない」
「…………もったいないな」
僕は笑った。
笑いながら立ち上がる。
「八坂もわかるだろう?この景色の美しさ。川も月も、眠る桜の木々も、全てが生きているとは感じないか?」
八坂は、顔を上げた。
静かに、僕を見上げる。
.