眠りの聲(こえ)―宗久シリーズ小咄2―
しかし、まさか………迎えに来てくれるとは。
「………何を笑っていらっしゃるの?」
「いえ、何もありませんよ」
そう返答しつつも、僕は込み上げる笑いを抑えきれずにいた。
おかしな人、と眉をひそめる妻。
意地っ張りは、僕も妻も同じだ。
「ありがとう、瑞江さん」
「お礼を言われる意味がわかりませんわ」
「何となく、言いたくなりました」
瑞江さん。
僕を捜しに来てくれたのですよね?
首を傾げる妻。
その手を、僕は握り締める。
存在を、噛み締める様に。
「帰りますか。いい報せがある様な気がしますから」
藍色の空、漂う薄雲。
しっとりと浮かぶ、真冬の冴えた上弦の月。
はい?と眉を跳ね上げる妻と肩を並べ、歩き出す。
そう、僕はこの現実が愛おしい。
隣を歩く妻。
彼女もまた、僕の幸せの一部であると実感した。
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「………何を笑っていらっしゃるの?」
「いえ、何もありませんよ」
そう返答しつつも、僕は込み上げる笑いを抑えきれずにいた。
おかしな人、と眉をひそめる妻。
意地っ張りは、僕も妻も同じだ。
「ありがとう、瑞江さん」
「お礼を言われる意味がわかりませんわ」
「何となく、言いたくなりました」
瑞江さん。
僕を捜しに来てくれたのですよね?
首を傾げる妻。
その手を、僕は握り締める。
存在を、噛み締める様に。
「帰りますか。いい報せがある様な気がしますから」
藍色の空、漂う薄雲。
しっとりと浮かぶ、真冬の冴えた上弦の月。
はい?と眉を跳ね上げる妻と肩を並べ、歩き出す。
そう、僕はこの現実が愛おしい。
隣を歩く妻。
彼女もまた、僕の幸せの一部であると実感した。
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