眠りの聲(こえ)―宗久シリーズ小咄2―のレビュー一覧
人は生きることに意味を求める生き物であり、そんなものを求めるのはまた、人だけである。 風がやさしいであるとか。 花が美しいであるとか。 笑顔があたたかいであるとか。 それはきっと、誰かと胸の内を共有したいからなのだろう。 そしてそれは、声に出さなければ誰にも届かない。 何もいわずとも伝わることがあるのは、それまで相手に伝え続けたものが降り積もって、ようやく叶うものなのだ。 そんな当たり前だけれども、忘れがちで、しかし大切なことを今一度気付かせてくれる物語です。
美しい言葉。 雰囲気はしっとりとしていて、それでいてスネた妻の存在が、よい感じのスパイスとして効いています。 でも、話の本筋はそこではなかった。 スペースが多いことは、この際忘れてしまおう。 私は、他の作品も読みたくなりました。 如何ですか? お勧め致します。
堅く心を閉ざし、眠りの国に閉じこもってしまった人に、主人公の想いを乗せた声は届くのか…。 人は誰しも現状に悩み、あれこれと考え込んでしまうもの。 その場に立ち止まっている人、一歩目を模索している人、一歩目を踏み出そうとしている人、そんな人達に読んで頂きたい作品です。
−幸せは夢の中ではなく この世にあってこそ 見る事ができるものだ− これは作者がこの作品の表紙に書いた言葉です。 全てはこの言葉に尽きます。 宗久シリーズはとにかく美しい。 そして心に温かいのです。
知ってる人は知っている宗久シリーズ。 今回は、宗久の過去や、妻との少しドキドキするも微笑ましいエピソード、そして謎の少女を情緒豊かに書き綴っている。 短編にも関わらず、ホゥ〜っと溜息の出るような描写に、大満足の作品です。 是非、『6月の蛍』から読まれる事をお勧めします!
この世のあらゆるものに宿る魂や、たゆたう想い。 不思議なものたちに語りかける力を持った、新庄宗久シリーズ第三弾。 バレンタインの夜、愛しい妻とのささいな喧嘩で、夜の道を散歩するはめになった宗久。 彼の前に現れた少女もまた、ある秘密を抱えていた―。 傷ついた幼い心への優しさといたわりが、静かに胸に染みてきます。 冬の夜にしみじみと読んでいただきたい作品です。