土曜日の図書館
異世界への扉
* * * * *
「…脚立はまだそのままで…っと。」
図書館で働き始めて1年半が過ぎた。
残暑が厳しくて夏みたいだった9月も終わり、ようやく景色も気温も秋らしくなってきた。
読書の秋、ということで図書館側も秋は力の入り方が違うというのは去年知ったことだ。
オススメ図書もジャンル別にブースを作ったり、移動も並べ替えも多い。
…大きな声では言わないけど、そういう移動とか本を戻したりとか本を探したりするのは若手(主に俺)の仕事だ。ざっくり言うと面倒。
「あのぉ~…。」
「あ、はい。何でしょうか?」
「魔法の本ってこの中央図書館にはないんですか?」
「え?」
「あっ…えっと噂で…っ…。」
「あーはい。知ってますよ。
でもすみません。僕はちょっと分からないです。」
「中央図書館の蔵書の中にあるかどうかは…。」
「端末を使って僕も個人的に調べたことはありますが、なんせ…名前も分からない本ですし。」
「そっ…そうですよね。」
「お力になれず、すみません。」
「いえっ…!ありがとうございましたっ!」
スカートの短すぎる女子高生は走るように逃げて行った。
「…脚立はまだそのままで…っと。」
図書館で働き始めて1年半が過ぎた。
残暑が厳しくて夏みたいだった9月も終わり、ようやく景色も気温も秋らしくなってきた。
読書の秋、ということで図書館側も秋は力の入り方が違うというのは去年知ったことだ。
オススメ図書もジャンル別にブースを作ったり、移動も並べ替えも多い。
…大きな声では言わないけど、そういう移動とか本を戻したりとか本を探したりするのは若手(主に俺)の仕事だ。ざっくり言うと面倒。
「あのぉ~…。」
「あ、はい。何でしょうか?」
「魔法の本ってこの中央図書館にはないんですか?」
「え?」
「あっ…えっと噂で…っ…。」
「あーはい。知ってますよ。
でもすみません。僕はちょっと分からないです。」
「中央図書館の蔵書の中にあるかどうかは…。」
「端末を使って僕も個人的に調べたことはありますが、なんせ…名前も分からない本ですし。」
「そっ…そうですよね。」
「お力になれず、すみません。」
「いえっ…!ありがとうございましたっ!」
スカートの短すぎる女子高生は走るように逃げて行った。