土曜日の図書館
「あ、じゃあ次はオレかな。泉臣白斗(センシンハクト)。能力はヒールで基本的な治癒が専門だよ。最近は色々派生して出来ることが増えたから治療の範囲も広がってる。
攻撃の基本は水で、だな。」


銀の少し肩にかかった髪が一瞬光を帯びて光る。
飄々とした物腰は、このメンバーの中でも特殊だ。


「ボクねー澄瀬桃依(スミセトウイ)!能力はフライだよ。空飛んだり瞬間移動したりさせたり、物動かしたり。結構色々出来るようになったんだぁー。凛と颯も飛びたくなったらボクに言ってね?」


幼い外見に屈託のない笑顔。
桃色のふわふわした髪が少し外側に跳ねている。
髪と同じ色の瞳には好奇心が潜んでいる。


「紫紀、先にどうぞ。」

「朝霧紫紀(アサギリシキ)。能力はタイムだ。時を専門とする。」

「…簡潔だね、紫紀さん。」

「紫紀、で構わない。俺も颯と呼ぶ。」

「あ…はい。」


物語通りの堅物さだ。
濃い紫色の長い髪は後ろで束ねられ、意志の強い瞳も同じ紫色をしている。
寡黙で無表情。しかしそれでいて冷たいわけではなく、誰よりも仲間を心配している。
俺は登場人物の中で紫紀が一番好きだった。


「じゃあ次は僕でいいかな。
宝来緑志(ホウライリョクシ)と言います。能力はシールドで守備担当ってところかな。蒼刃の双子の兄です。」


緑色の髪、柔らかな表情は弟と全く似ていない。…双子だっていうのに。
気遣いの細やかさはメンバー随一だ。


「最後、ほら、蒼刃の番。」

「めんどくせぇ。」


…言うと思った。


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