土曜日の図書館
「協力…ですか?」


恐る恐る声を発したのは彼女の方だ。


「凛ちゃんはジャンプの能力があって、そして剣も使える。しかも蒼刃が認める腕前ときた。
言葉は悪いけどすごく使える『戦力』だ。
それに颯くん。君には水竜がものすっごーく懐いてるし。オレたちとしてはこのまま水竜をなだめてほしいわけ。」

「…役に立てるかどうかは分かんないっつーか…むしろ役に立てる気がしない…んですけど。」

「颯くんはいてくれるだけでいいからさ。
凛ちゃんはもしかしたら少し危ない場面に遭遇するかもしれないけど…ま、そこはオレたちもフォローするしさ。っていうか凛ちゃんにはあんまりフォローいらない気がするし。」

「…少し相談させてもらってもいいかな?」

「あ、もちろん。じゃあオレたちは席外そうか。」

「ああ。」


白斗に促されるまま俺と彼女以外の全員が少し離れた場所に移動する。
ライブリサタリィに来て、ようやく再び二人きりになった。
とにかく頭を整理したい。


「…どうする?」

「協力すべきかと思うのですが。」

「だよねぇ…俺もそう思う。」

「話を進めないことには、本から出られるとは思えないですし。
それに水竜を群れに返したいです。私の能力が役に立つなら尚更。」


彼女の言葉に迷いは感じられない。
現段階では魔法の本に触れて彼女のイメージするアクアマリンの世界に入ってしまったというのが有力な説だ。
入ってしまったからには出る方法を考えなくてはならない。

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