土曜日の図書館
「スピード上げるよ?」

「おう。」


シールド自体の動きを掌握しているのは桃依だ。
スピードを上げるということは揺れが増すということ。
そしてそれに伴い、水竜がビビる。


「大丈夫だ。そばにいるから。」

『…ゆれるのこわい…。』

「…お前…喋ってんのか?」

「え?」

「颯?どうしたの?」

「…水竜の声、聞こえないか?」

「声…ですか?」

「聞こえないよ?水竜、何か喋ってるの?」

「揺れるの怖いって。」

「…そんなの一言も…。」

「星来は触れば分かるんだよね、気持ちが。」

「そのはずなんですけど…竜には何故かきかなくて。」

「え?」

「だから意志疎通図れなかったんです。」

「…じゃあなんで俺には聞こえるんだ…?」


水竜が発する『言葉』に動揺していた矢先に飛んできたのは、炎が斬られ、氷の溶けた音だった。


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