土曜日の図書館
「…っ…大丈夫ですか?」

「お前こそ大丈夫なのかよ?」


蒼刃の背中に飛んできた炎を斬って溶かしたのは彼女だった。
斬った後の反動で蒼刃の背中と彼女の背中がぶつかり、そのまま背中合わせで炎竜と対峙している。


「私は平気です。」

「…悪いな。女に背中守られるなんて初めてだ。」

「私も男の人と背中合わせで戦うというのは初めてです。」

「緑志以外にこの俺が背中任せんのは奇跡みてぇなもんなんだからな!
光栄に思え。んで腑抜けたことすんなよ。」

「分かってますよ。」


一瞬、彼女の口元が緩んだ。
同じタイミングで蒼刃もニッと笑う。


「凛。俺の見えねぇ範囲はてめぇに任せる。」

「任されます。」


蒼刃が背にしている範囲を彼女は軽々と動く。
竜の背を踏み台にし、人間とは思えない跳躍力で跳ぶ。
動きにソツがなく、キレも良い。何より、動きそのものが綺麗だ。


『…いずみにかえりたい…。』

「え?」


触れた部位から伝わる『水竜の言葉』
今度はこっちに集中しなくちゃならない。

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