土曜日の図書館
「…揺れるの怖いよな。俺もあんまり得意じゃねぇんだよ。
だけど大丈夫。桃依は安全運転だ。」

「うん!任せてー!」

「星来もちゃんといてくれてる。」

「…何も出来ないけどそばにはいるよ?」

「何も出来ないわけじゃないよ。
…俺も最初そう思ったんだけどさ。」

「え?」


星来が目を丸くして俺を見つめた。


「そばにいるってこと、出来るじゃん。
今やれることをちゃんとやる。大島さんと約束したんだ。」

「そう…ですね。」


星来がにっこりと微笑む。
それにつられて俺も笑う。
水竜の震えが少し収まる。


「もうちょっとの辛抱だから。
早く群れに帰ろうな?仲間もいっぱいいるしそろそろお前、ちゃんとメシ食った方がいい。」

『めし?』

「あー…ご飯ってこと。…子どもだったんだっけ?変な言葉教えちゃダメだな。」

『ごはん…たべたい。』

「だよな?家帰るまで我慢だ。もうちょい。」


俺は水竜の頭を撫でた。

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