土曜日の図書館
「お前…竜と喋ってんのか?」

「え?」


蒼刃に話し掛けられて振り返る。
…そうだよな。俺が話してる声は聞こえてるけど、竜の声はみんなに聞こえない。
俺が独り言を喋ってるようにしか見えないよな、普通。


「…なんだか話せるみたいなんだ。」


俺は曖昧にそう答えた。
なんで話せるかなんて分からないし、説明なんて出来ない。


『実に特殊な能力だ。』

「…自分でもそう思います。」

『しかし…あの子を連れて来てくれたこと、深く感謝する。』

「俺が連れてきたわけじゃありません。
守ったのは彼らです。」


俺は後ろを見た。
蒼刃や白斗、紫紀、緑志はシールドを張っていなかったのだろう。彼女よりも火傷が多い。もちろん白斗が後から治すだろうが、現段階では痛々しい。
彼女だって無傷ではない。頬の傷に重ねるように傷が出来ている。


『では、彼らにも感謝の意を伝えてくれ。』

「もちろんです。」


俺は微笑んだ。とても素直に笑顔が浮かんだ、と言えばいいのだろうか。
本当にそんな感じだった。


『空は好きか?』

「え?」


それは唐突な質問だった。

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