土曜日の図書館
「…竜が背に乗せてくれるって。」

「はぁ?」

「えぇー!?乗れるの!?ボク乗りたいっ!」

「あたしもー!」

「なんでそういう話になったんだ?」

「水竜が人間と仲が良かった頃、そうしてたんだって。水竜が感謝を表す方法として。
水竜の子どもを届けてくれたお礼にそうしたい…らしい。」

「じゃあありがたく乗ることにしようよ。
竜の背中に乗るなんてそんな機会、もうないかもしれないし。」

「そうだな。」

「僕もちょっと興味あるな。」

「大島さんはどうする?」

「もちろん、乗せてもらいます。」

『では、こちらへ。』


目の前にゆっくりと足を折って座る4頭の水竜。
さっきまで俺が話していた水竜の長と目が合う。


『お前は私に乗れ。』

「いいんですか?」

『私はお前に本物の空を見せたい。』

「ありがとうございます。」


俺は頭を下げた。
顔を上げると、自然と目が合う。
その目が穏やかで優しくて、だからこそ少し切なくなった。


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