土曜日の図書館
「つまり、その人のポジションによって欲しいものなんて変わってくるってことー。」

「ポジション?」

「彼氏から貰ったものなら特別だけど、何でもない人…まぁ顔見知り程度の人から貰ったものなんてかえって気色悪いって言うか…まぁ、そんな感じ。」

「気色悪い!?」

「小澤さん、図書館員のくせに声がでかいです。」


山内さんにそう窘められて俺はまたしても口をつぐむ。
…気色悪いなんて思われちゃうのか、俺…。


「大事なのは『彼女』における小澤さんのポジションだと思うけどなー。」


かなり強気な表情で山内さんはそう言い放つ。
って待てよ。『彼女』って言ったよな、今。


「小澤さん、勘違いしないでくださいよ?
今までのはあくまであたしの意見、もしくは一般的な意見なだけで、あの子がどう感じるのか分かんないんですから。」

「…っ…。」


バレている…。完全に山内さんは『彼女』を知ってる。


「っていうか、あの子に一般論とかあたしを参考にしようなんて無茶というか無駄な話だと思いません?
だってあの子、今時とはものっすごいかけ離れてるし。」


畳みかけるように山内さんが続ける。


「一般論を彼女にぶつけても全然意味ないと思いますよーあたし。
そんなの通用する相手じゃないし。
学年1位を譲ったことのない秀才だし。」

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