土曜日の図書館
「彼女が小澤さんを好きか嫌いかでプレゼントが嬉しいか嬉しくないか決まるってあたしは思います。」

「…そ…そうですか…。」


山内さんに『彼女』がバレていたこともさることながら、山内さんの言葉もなかなかに刺さる。
…彼女に嫌われているとは思わないけど、特別好かれているとも思えないんだよなぁ…。
プレゼント探しはかなり難航しそうだ。


そう思いながら俺は少し作業を進めることにした。本棚の整理だ。
ふと目に入った『美空かなめ』という著者の名にある人物を思い出し、山内さんとの関係も引っ張り出す。


「そういえば山内さん、天宮さんと仲良いよね?」

「はっ!?」


お、どうやら図星のようだ。
山内さんは分かりやすい。


「あ、整頓してたら『美空かなめ』が目に入ってさ。
んで天宮さんの下の名前って美空だったよなぁってこと思い出して。
そしたら山内さんに繋がったんだけど。」

「どうして美空とあたしが繋がるんですか!」

「だって呼び捨てにしちゃってる感じだし。」

「べっ…別にそんなんじゃ…。」

「土曜日には絶対二人が一緒にいるところも見かけてるんだけど。」

「変態ー!」

「えぇー!?だって図書館ぐるぐるしてたら見かけるでしょ。いつも同じ場所にいるから他の図書館員だって知ってると思うよ?
天宮さん、色々目立つし。」


山内さんに揺さぶりをかけられたんだ。
このくらいの揺さぶりかけたっておあいこってもんだろう。

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