土曜日の図書館
「なんですか?」

「欲しいもの、何かある?」

「…なんでその質問なんですか?」

「山内さんには相談に乗ってもらってたんだよ。
今時の女子高生は何が欲しいのかって。」

「そうですか。それは私とは直接関係がありませんね。」

「…だよなぁ…。やっぱり山内さんの言ってたことは正しかったかも。」

「あの、離していただけますか?」

「離しても逃げないで話聞いてくれるなら離すけど。」

「逃げません。」


俺はすっと彼女の腕を離す。
そして掴んだのは彼女の手。


「手も離してください。」

「何か怒ってる?」

「怒ってません。話があるならどうぞ。」

「…君の場合、欲しいものはなに?」

「私の場合ってどういう意味ですか?」

「一般論とか山内さんの意見とか、そういうのって参考にならないというか必要ないんだよね、結局。
それはあくまで彼女たちの意見であって君の意見じゃない。
俺が知りたいのは君の意見だから。」

「あの、何かありましたっけ?」

「え?」

「誕生日はもう過ぎましたけど。」

「…ほんっと疎いなぁ…。」


俺はため息まじりにそう呟いた。

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