土曜日の図書館
「あー…ホントにさぁ…そういう可愛さ勘弁して。」

「な…何がですか。」

「…凜がくれるの?」

「…あげると惨めになりそうで嫌なのですが。」

「なんで惨め?」

「大したラッピングでも大した味でもありませんから。」

「あのさぁ…ホントのホントに分かってない?」

「何がですか?」


…やっぱりダメだ。きっと分かってない。
でも今仕事中だしまだ言えない。


「凜のチョコ、勤務後にくれない?」

「え?」

「で、勤務後ちゃんと話したいことがある。
7時に図書館の入り口にいて。」

「…分かりました。」


俺はそれだけ言うと彼女に背を向けた。


「良かったじゃない、チョコ、貰えそうで。」

「うわ!なんでいるんですか!」

「書庫行ったら早坂さんがもう仕事しちゃってたんだもん。
で戻ってきたら小澤くんとお姫様が見えたものだから。」

「覗き見、と。」

「とまぁそんなことよりはい、コレ。」


差し出されたのは可愛いラッピングに包まれた何かが5個。


「ぜーんぶ小澤くん宛て。今年は去年を上回る勢いね♪」


俺は黒瀬さんの笑顔にげんなりした顔をぶつけてみた。


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