土曜日の図書館
* * * * *


「お疲れ様でした。」

「小澤ー!その山積みのチョコどーすんだぁ?」

「…差し上げます。適当に持って帰ってください。」

「おいおいそりゃーないんじゃないのか?」

「本命が待ってるんで!失礼します!」


明日の勤務でからかわれるのは絶対だけど、今はそんなことどうでもいい。
とにかく会いたい。
彼女のチョコが欲しい。


息が白く染まる冬の夜。
図書館の入り口に小柄な彼女は立っていた。


「ごめん!結構待った?」

「いえ。そんなに待ってませんよ。7時丁度です。」

「…ほっぺも耳も赤いよ。それに…。」


俺は彼女の頬に触れた。


「冷たい。」

「…だっ…大丈夫です。それよりも…忘れないうちにチョコ…。」

「…うん。ありがとう。」


彼女のコートのポケットから出てきた小さい包みがそっと俺に手渡された。


「このチョコはさ、本命だって思ってもいいの?」

「…本命…。」


あれ?ちょっと思ったより反応が薄い。
じゃあこれはどういう意味のチョコなんだろう。


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