キミ色
そう考えると、世界は改めて広いと感じた。


こんなちっぽけな町だけでも、何十万人という人々。
この世界には、その何倍もの人が生活している。


そんな中で、蓮とめぐり合えた俺はきっと幸せ者なんだろう。



だって、俺が東京に出て来なかったら一生出逢わないままだったかもしれない。
でも、俺は蓮と出逢うことが出来たんだ。



ねぇ、こういうのを運命っていうのかな…?




無事に電車は俺達を駅に運び、降ろしてくれた。
蓮の荷物を両手に持ちホームに足をつけると、そこはまるで夢の世界だった。



…すげぇ。


頭の中に浮かんだ言葉。
その一言に尽きた。



目の前に見えるのは、海…海…海。
どこを向いても、少し先には海があった。


地面にアスファルトなんてない。
全て海の砂で、周りには草花が埋まっていた。



「…懐かしい」



蓮は改札を通り抜け、1歩足を進めるとそう言った。
大きく息を吸い込む蓮。
体全体で潮風を感じているのだろう。



すると、隣で聡くんも蓮の真似をし始めた。
大きく深呼吸をする聡クンは、蓮とそっくりだ。


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