キミ色
でも、駄目なんだ。
俺はすぐに下を向いた。


花音を考えると、空羽を想いだしてしまうから…
妙に心配になってしまうから…



どうして、お前はそんなに俺の中に入って来てしまったんだろう?
どうして、このタイミングなんだよ…?


せっかく、花音のことを受け入れられそうだったのに…
また、花音が俺の心を奪っていってしまうじゃないか…


俺の頭の中は、また壊れていく。
全て空羽のせいにする俺は最低だよな…。



そう…、俺は最低な人間なんだ。
俺は世界一弱い人間なんだ─…。



「…い……櫂?!」



顔の前でぱたぱたと手を振る蓮は、不思議そうに俺を見つめていた。



「ん?どうかした?」



「どうかした?って…、櫂こそ大丈夫?」



「あぁ…、ごめん。大丈夫。」



「…なんかあった?」


「どうして?」



「だって…、昨日も公園で寝てるし…、急にぼーっとするし…、なんか櫂変だよ?」




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