キミ色
7:崩れる未来
「ただいま…」
小さな声で呟いて、落ち着く家独特の空気の中に入っていく。
手には、あの指輪を包みながら…
廊下を歩いていくと、お風呂上りなのかバスタオルを持った空羽が洗面室から丁度出てきた。
それもそのはずだ、今は夜中の10時。
普通居候してるのに、こんな夜中に女の子を1人部屋に居させるなんてしないんだろう。
でも、俺は毎日これぐらいの時間に帰っている。
別に塾がある訳でも何でもない。
ただ、蓮の不安を少しでも取り除かないといけないから…
ただそれだけ─……
ぱっと合ってしまった目をすぐに逸らし、俺はリビングに向かった。
ソファに座ると、後から空羽がリビングに入って来る。
でも、何も話さない。
無言のまま、重たい空気が流れているリビング。
これも全部全部、蓮のタメ…
全部全部…、俺のタメ─…。
空羽は冷蔵庫から水を取り出すと、すぐに自分の部屋へと行ってしまった。
バタン、と音を立てて閉まる扉。
そこまで大きな音でもないのに、この静かなリビングだと大きく響く。
その音がやけに虚しくて、俺の心はぽっかりとどこか穴が空いてしまったようだった。
無意識のうちに下に向いてしまっていた目が捉えたのは、右手の中から光を放つ指輪だった。
『“宝物”って言って肌身離さず持ってるのに、未だに指につけてる所みたことないんだ…』
光る指輪を見るだけで、残像のようにそう言っていた蓮の言葉が浮かぶ…。
「…若菜チャン─…」
小さな声で呟いて、落ち着く家独特の空気の中に入っていく。
手には、あの指輪を包みながら…
廊下を歩いていくと、お風呂上りなのかバスタオルを持った空羽が洗面室から丁度出てきた。
それもそのはずだ、今は夜中の10時。
普通居候してるのに、こんな夜中に女の子を1人部屋に居させるなんてしないんだろう。
でも、俺は毎日これぐらいの時間に帰っている。
別に塾がある訳でも何でもない。
ただ、蓮の不安を少しでも取り除かないといけないから…
ただそれだけ─……
ぱっと合ってしまった目をすぐに逸らし、俺はリビングに向かった。
ソファに座ると、後から空羽がリビングに入って来る。
でも、何も話さない。
無言のまま、重たい空気が流れているリビング。
これも全部全部、蓮のタメ…
全部全部…、俺のタメ─…。
空羽は冷蔵庫から水を取り出すと、すぐに自分の部屋へと行ってしまった。
バタン、と音を立てて閉まる扉。
そこまで大きな音でもないのに、この静かなリビングだと大きく響く。
その音がやけに虚しくて、俺の心はぽっかりとどこか穴が空いてしまったようだった。
無意識のうちに下に向いてしまっていた目が捉えたのは、右手の中から光を放つ指輪だった。
『“宝物”って言って肌身離さず持ってるのに、未だに指につけてる所みたことないんだ…』
光る指輪を見るだけで、残像のようにそう言っていた蓮の言葉が浮かぶ…。
「…若菜チャン─…」