キミ色
複雑な気持ちは、キミの登場で余計に複雑になる。
絡まっていってしまう糸は、どんどん解けなくなってしまうんだ。



ねぇ─…、空羽。
どうして…?



ついに、後少しで蓮のいる教室に着く所まで来てしまった。
近づくにつれ、沈んで行く心。


怒ってる顔なんか、見たくないよ…
でも、俺が悪いんだから仕方ないか─…



そう割り切ろうとして、下に向けていた顔を上げて花壇を曲がった時だった─…



誰かも知らないような人なら良かったのに…
全く関係のない他人だったら良かったのに…



何度、夢だと想っただろう?
何度、嘘だと感じただろう?



曲がった瞬間に俺の目に映った光景は、完全に俺の度肝を抜くような景色だった。
俺の目は完全にあの2人を捉えていた。



どうして─…
ねぇ、何で?



どうして、この2人なの─…?



止まる時間。
固まる世界。
俺の周りだけ何もかもストップしてしまったかのように…



さっきまで未来へと運んでいた時計も、風によって流されていた雲も…
そして、俺の思考も─…
全てが止まった瞬間だった。



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