キミ色
雲の切れ間から太陽が差した。
さっきまで雲に隠れていたのに、顔を出してしまった。



その光のせいか、唖然とする俺の方にぱっと空羽の視線が移った。




見つめ合う俺と空羽─…




次の瞬間、何故か俺の足は走り出していた。
あれだけ硬くなっていた体が嘘のように…、急に軽くなった足は止まることを知らず走り続ける。



何が起きた…?
一体、さっきのは…?


現実味がどうしても感じられない俺は、自分の心で否定ばかりしていた。
でも、きちっと脳裏にはあの映像がこびりついている。



空羽と時雨が─…
そして、キミが空から陽を差した…



それは…、いけないことだろ、、
時雨─…?



走る足は、止まるということを知らない。
あの2人から遠ざかるタメなら、どこまでも走っていけるような気さえした。


さっきまで、あれほど限界だと訴えていたくせに、人間というのは本当に不思議なものだ…。
知らない内に靴箱まで入ってきていた俺は、ようやく止まりローファを脱いだ。



そして、階段に登るために1つ目の角を曲がろうとした瞬間だった。
陰に1人の女の子が見えたんだ。


嫌な予感がする…


その嫌な予感なんて見事に外れればよかったのに、、
俺の予感はこうゆう時に限って当たってしまうんだ…



キミは俺が良く知る、凄く繊細な心の持ち主。
そして、俺ととても良く似た感情の持ち主…


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