キミ色
こんな大事なことに今頃気づくなんて…
俺は、本当に最低な彼氏だな─…



本当に…、本当に─…
…俺は馬鹿だった─…



「ねぇ…櫂、気づいてる?」



その声に下に向いていた顔を上げると、蓮はまた笑っていた。




「今日ね、あたし達の1ヶ月記念日なんだよ─…」



「………っ!」



俺の反応を見て蓮はまた笑顔を浮かべた。



「そうだと想った。だって、櫂いっつも記念日とか誕生日とか忘れてるんだもん。前の時もあたしが言って櫂がそんな表情浮かべて…、そんな繰り返しだったもんね…」



「………。」



「あたしが毎回思い出させてあげるよ。記念日も誕生日も…全部全部。」



そう言うと、蓮はスカートのポケットの中から金属のようなモノを取り出した。
そして、そのモノを見て少しはにかむと俺に近づいてきた。



蓮の指によって俺の首にすーっとかかって行くもの。
それは…



誰が見ても“ネックレス”だった。



銀色の鎖に小さな瓶がついたネックレス。
とてもシンプルなそのネックレスは、いかにも蓮らしかった。



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