キミ色
お願い…?
俺に出来ることなら、何でも聞くよ。



「…20日。この日だけは、一日中あたしと一緒にいて?お願い、櫂。」


…20日?
7月20日って何かあったっけ…?


「なんで、20日なの…?俺、22日なら丁度バイト休みなんだけど…22日じゃ駄目…?」



「っ駄目!!!どうしても20日なの!!」



急にそう叫ぶ蓮。
まさか蓮がそんな声を出すなんて、予想外だった…


蓮らしく…ない。



「あ…ごめん。そんなつもりじゃ─…」



「解った。じゃあ、20日はシフト変わってもらうよ…。ずっと蓮の傍に居るよ。」



俺は蓮としっかり約束すると、蓮を家まで送っていった。
聡君にもしっかりバイバイして、俺は自分の家に向かって歩き出した。



歩きながら頭の中に浮かぶのは、さっきの蓮の声。
珍しい…蓮があんな風に感情を表すなんて。



よく考えたら初めてかもしれない。
蓮の叫んだ声を聞いたのは…



でも、20日に何があるんだろう…?
蓮の誕生日でもないし、俺も誕生日はもっと先。
記念日は過ぎたし…聡君の誕生日とか?



色々考えても俺の頭の中にはこれ以上何も浮かんでこなかった。
不気味そうな月がそんな俺を照らし続けていた。



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