キミ色
9:愛情と友情
「ありがとうございました。」



頭を下げ今日最後のお客さんにお釣りを渡す。
「MiLky」に来て約2週間、もうこの程度の対応には慣れてきた。


日曜日の今日も俺は蓮のもとではなく、「MiLky」の中に居た。
ここずっと土日も関係なくバイトを入れている。



レジから時計をちらっと確認する。
ちゃんと10時2分ぐらい。


よし!やっと上がれる。
遂に今日のバイトの終了時刻だ。
日曜日だけに今日の労働時間はいつもの倍。



それなりに体に重さを感じ、俺はロッカールームに向かいながらエプロンを外す。
そして、部屋に入ろうとした時俺を呼ぶ声が聞こえた。


「櫂!」


その声にぱっと振り返ると、そこには美波さんと愛依、そしてお兄がいた。


「なんすか?」


「今からみんなで飲みいくけど、行く?」


「飲み…?」


「近くのコンビニで買ってうちで飲むの。ま、プチ酒パみたいなもんだけど。」



プチ酒パって…
こんな時間からパーティすんのかよ…



「槻丘先輩、まじで行かない気?最高にノリ悪い人だね…」



相当俺がしかめっ面だったのか、愛依がふいにそう言ってきた。
隣のお兄も苦笑いでこっちを見ている。



「は?行くよ、行きますよ。」



完全に愛依の挑発に負けてしまった。
若干カチンと来る言葉に俺の口は勝手にそう口走っていた。



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