キミ色
「はい、櫂持つ!」


美波さんが買った大量の缶が入ったビニール袋が俺のもとへと届く。
されるがままに持ってしまう俺の手。


その袋の重さはいうまでもない。
しかも、俺だけでなくお兄も同じようなビニール袋を持っているのだ。



まじでどれだけ飲む気なんだろう…。
袋の中をみると、ぞっとする。



「櫂、お兄早く行くよ!!」


「行こ行こ!飲もー!!」



超ご機嫌と見える愛依は、少しだけ幼く見えた。
美波さんの隣に立つと友達のように見えるけど、やっぱりどこかまだあどけない。



美波さんの家にはすぐに着いた。
コンビニから約10分。



可愛い雰囲気を醸しだすマンション。
あまり美波さんのイメージとは違うそのマンションの3階まで上り、俺達はようやく美波さんの部屋に入った。



「ただいま!!」


「やっと、着いたー。」


「そんな歩いてないでしょ!?」



大きい声でやり取りを続ける愛依達の会話を聞きながら俺達も部屋に入る。
美波さんの家にくるなんて初めてだ。



去年は酒パなんて行事なかったし…
それにバイトの後は時雨と夜ご飯を食べに行くのが定番だったから。



もし今日時雨がいたら、きっと時雨も美波さん達と一緒に騒いでたんだろうな…
あいつは、こういう場に1番ふさわしい奴だから─……。




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