キミ色
気がつくと、俺は走っていた。
教室を飛び出し、廊下をただただ走っていた。



最悪だ…
最低だ…



俺は蓮を裏切った―……




俺は赤い扉の前で足をとめた。
無意識のうちに俺はここまで走ってきていた。



この先に見えるのは、空に一番近づけるあの場所…




ねぇ…花音
そっちにいってもいい?



俺、もうダメかもしんない―…



花音も思ってるだろう?
最低だ、って…



俺は蓮を可哀想に思って付き合ったんだ…
それは…愛じゃなく―…




深い友情の延長上―……




罪悪感が胸を支配しては、俺を苦しめる。
心を壊されてしまいそう…



そんな時、声が聞こえた。
この声は―……



「…櫂?」



赤い扉の前で立ち尽くしている俺を不思議そうに呼ぶ君の声。



ねぇ、この気持ちを言ったら君は泣いてしまう…?
また、君を傷つけてしまう…?




君をまた苦しめて…
深い闇のどん底に突き落としてしまう―…?



ねぇ、教えてよ…




…蓮。



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