キミ色
10:行交う泪
赤い扉の前に立ち尽くす1人の弱虫と声をかける1人の少女。
静かな廊下は、嫌味なぐらい真っ暗に染まっている。




まるで…、嵐の前の静けさのように─………




「…櫂、どうかしたの……?」



そう言って、蓮が俺の腕を掴んだ。
でもその瞬間、蓮はハッとするように手を放した。



自分でも…解っていた。




「櫂………、何で…こんなに震えてるの─…?」




急に全身がビクビクと震えだす。
何かに押しつぶされそう…



次から次へと小刻みに身体が振動する。
何かの恐怖に呑み込まれそう…



身体がいうことを聴いてくれない…



止まれ!
…止まれ!!



そう指示してるハズなのに、身体はどんどん震えを増してしまう…



怖い…
とてつもなく…怖い─……。



この真っ暗な闇に呑み込まれてしまいそう─…
誰か、助けて……




誰か───…



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