キミ色
その時、地面に向かってポツリポツリと雨が降り始めた。
余計に暗さを増す廊下。



今にも雷が落ちそうな空は、分厚い雲を抱えている…




「…ごめんな──…」



もう…蓮とは一緒にいられない─…



最後にそう言って、俺が階段を降りていこうとした時、蓮がまた震える俺の手を掴んだ。



鳴り響く雷…
強さを増す雨─…



…蓮……



思わず蓮の顔を見ると、そこには涙を目に溜める蓮の姿があった。
どんどん強くなる蓮の握力。




「…今日は…今日は、ずっと一緒にいるって言ったじゃない…!?今日だけは─……、あたしと一緒にいるって約束したじゃない!!」




「──………蓮…」





「…約束でしょ…?櫂…、あたしとの約束いっつも絶対守ってくれるじゃない──………」





そう蓮が言葉を零した時、同時に一粒の泪が蓮の目から零れ落ちた。
でも、蓮の目は真っ直ぐと俺を見据えていた…





…約束──…





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