キミ色
花音は時雨の想い出の中でしか、生きられないのに。


そんな簡単に切り捨てるなんて…



俺は暢気な顔をしながら寝ている時雨の事が少し憎かった。
お前の想いはそんなもんだったんだ。


見損なったよ…時雨。



本当は面と向かってそう言うべきなんだと思うけど、俺にはまだそこまでは出来ない。



時雨との友情は潰したくないんだ。
時雨とは喧嘩なんて、そんなくだらない事したくないから…。




なんて、…嘘。


こんな言葉は、全部格好悪い言い訳。




本当は―……
ただ、怖いだけ。



時雨は唯一の俺の心の支えだから。



時雨がもし俺の前からいなくなってしまったら、きっと俺は一歩も動けなくなってしまうだろう。



ただの呼吸をしてるだけのロボットのように。



俺の中には、【自立】という言葉が存在しないようだ。



ごめんな…花音。



空を見上げる。
真っ青だった空が夕陽でオレンジ色に染まっている。


そんな時に屋上からパッと見えた人物。
それは、おどおどと運動場を歩く真っ白な心の持ち主だった。



永城 空羽―…



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