キミ色
全速力で真っ直ぐ走っていた足を右に曲げた。
そして足を止め、エレベーターのボタンを必死で連打する。



早く、早く来い…!



まるで気持ちを現すかのように震える右手は止まる事無くボタンを押し続けた。
そして、やっとの思いでエレベーターが開く。



閉ボタンを連打すると、今度は4ボタンを同じように連打した。
気持ちだけが大きくなり続ける。



そしたら、初めて空羽と会った日のことがぱっと浮かんできた。




栗色の重たそうな髪の毛をして、まるで子供のように無邪気に周りを見てた…
好奇心旺盛なキミは、エレベーターの中でさえ興味深々で……



俺は、そんな空羽を呆れて見てた。
全く、乗り気じゃなかったから…



俺は空羽のことを正直お荷物だと思ってたから。



…だから、本当に空羽のタメに何かをするとか
ましてや、守ってやるなんて全然考えてなかった。



それなのに…



…それなのに、空羽は俺の世界を乱したんだ……─。




その証拠が今の気持ち。
このモヤモヤとした俺の気持ち。




空羽を心配する俺のこの心全て…




……空羽……─



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