キミ色
水浸しの手紙を拾い上げ、覚悟を決めて鍵を差し込む。
ガチャ、と音を立てて開く扉。



俺は思い切り扉を開けた。
…でも、目の前に映ったのは暗闇。



真っ暗…
何も見えない…



「…空羽!!」



1度叫んでみる。
でも、返事がこない…



「空羽!!!?」



2回目…。
それでも返事は返ってこなかった。



空羽……
何か言えよ…



びしょ濡れのまま暗闇の道へと歩き出す。
いくら毎日住んでいても、流石に足元を気にしてしまう。



「空羽どこにいる!!?おい、空羽!?」



暗闇のせいで思うように足を動かすことができない。
おまけに水を吸い込んでいる制服が俺の身体を重くする…



くそっ…
空羽…、何で返事しないんだよ…




一応リビングまで歩くことが出来た俺は、空羽がいるか部屋を見渡した。
でも、リビングには人がいる気配がない…



とりあえず、懐中電灯だ…
周りが見えなきゃ、身動きがとりづらくて仕方ない。




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