キミ色
完全にブレーカーが落ちているらしく、どこの電気も全く点かない。
棚という棚や引き出しは全部漁り必死で懐中電灯を探す。



そして、3つ目の引き出しに腕時計を見つけた。
塾で使っていた小型ライト付きの小さな時計。



何でこんなもん…



そうは思ったものの、この際明るくなるものなら何でもいい。
スイッチを入れてみると意外にも光を放つ腕時計。



俺は咄嗟にその時計で部屋を照らした。
空羽の身長のことも考えて、どれだけ狭い所にも光を当てる。




「空羽!?空羽!!」




無我夢中で空羽の名前を呼び続ける。
でも、光を照らしてもやっぱりリビングにはいなかった。



ここじゃないなら、空羽の部屋だ。



俺はリビングの奥にある唯一の小部屋の扉を開けた。



「空羽!!?空羽!!」



光を当てたものの見えてくるのは、花ばっかりだった。
肝心の空羽はどこにもいない…




…なら、後はトイレ、洗面所、それかベランダ…
もう、どこでもいい。
とにかく、早く…早く。




廊下を走り近い扉からがむしゃらに開けて行く。
トイレの扉、その横にあるベランダ。




そして…、残るは玄関に一番近い洗面所……




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