キミ色
12:心の穴
どうして…



頭の中で同じ言葉がぐるぐると周り続ける。
それと同時に汗ばむ手。



「……上野先輩…」



そう呟いたと同時に店内から空羽が綺麗な花を抱えて出てきた。



「櫂!お待たせ。」



満面の笑みを見せる空羽。
でも、そんな表情を余裕で見てる暇などない。



俺の視線を見て気づいたのか、空羽は上野先輩の方を向いた。



「お友達…?」



暢気な声を出す空羽。
それどころの関係じゃない…



上野 尚



蓮の元カレ。
そして、俺はこのヒトから蓮を奪ったんだ…──



蓮を……




「なんだよお前、そうゆうことか。蓮は邪魔になったから切ったってか?」




ジャマ…?
何を言ってるんだ…



違う違う違う…
そんなのただの誤解だ。



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