キミ色
弱虫の俺は何一つ言い返せない…
真実を言えばいいんだ。



…でも、全部嘘のように聞こえてしまう気がして何も喋れない…。
喋れば喋るほど、裏腹な言葉に捉えられそうで…



「俺は、お前だから蓮と別れたんだ…」



俺だから……



「お前の存在は蓮の全てなんだよ。お前には、俺がどんなに努力しても勝てねぇんだよ。」



「………」



「見てただろ?蓮の笑顔。お前の隣で笑ってた蓮の顔…。俺は、あの笑顔を作ってやれない。…だから、蓮の手を放したんだ。」



八重歯を少し見せながら可愛い笑窪を作って、俺の隣で笑ってた…
眩しいぐらい可愛い表情で……




「あれ初めて見たときに想ったよ。お前じゃないとダメなんだって、蓮にはお前が必要なんだって…。」



…でも、俺が蓮を裏切った…
滅茶苦茶にした…




「なぁ…、蓮が何したって言うんだよ!何で蓮がまた辛い想いしなきゃいけねぇんだよ!?」




そう言って、上野先輩は思いっきり胸ぐらを掴んできた。



まるで抜け殻のような俺は、されるがままになっていた。
力を緩めさせられる程、もう気力が残っていなかった…




ごめんね…蓮。
俺のせいで…俺のせいで…




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