キミ色
次の日、起きて時計を見ると針は10時を差していた。



いつもの時間か…



そう思いながら、布団を出て欠伸をすると机の上の物が視界に入ってきた。
それは、紛れもなくお皿と言う名の物体とコップと言う名の物体だ。



それを見た瞬間、ようやく寝ぼけていた頭が回転しだした。
よく考えてみると、あの無邪気な奴が1人いない。



あれ…空羽は?



俺は寝癖がついたひどい髪の毛を触りながら、まず制服に着替え、台所に行くとそこには1枚の置き手紙があった。




『櫂へ
おはよう。用事があるから、先行くね。朝ご飯作っておいたから、レンジして食べてね。
    空羽』




また手紙か。
会った時も手紙だったし、空羽は手紙が好きなのかな?



俺は丸文字で書かれているその紙を手の中で丸め、制服のポケットの中に入れた。
これで2枚目の空羽の手紙だ。



用事…か。
何なんだろ用事って?



その時、俺の頭の中に昨日の事が蘇ってきた。



「そういえば…、クラブ…?」



俺はぽつりと言葉を零すと、自然と笑ってしまった。




もしかすると、昨日想像していた空羽が実現されるかもしれない。
そう想うと、笑わずにはいられなかった。



そして俺は、言われた通りレンジをして朝食を済ませ、身だしなみを整えてから家に鍵をかけた。




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