キミ色
13:真実の関係
後ろに流れていく景色。
冷房の効いた涼しい箱。




ゆらゆらと体を揺らしながら俺を運んでいく。




俺は電車の中にいた。
結局部屋はぐちゃぐちゃのまま適当に用意だけを鞄に詰めて家を後にした。



4つぐらい前の駅で降りた空羽と別れ、俺は1人携帯をいじりながら座る。



《次は終点港町…、港町…》



アナウンスで立ち上がり、扉の前に移動する。
田舎だけにあまり人はいない。



《プシュー…》



その音とともに開いた扉から1歩足を踏み入れた。
懐かしい駅、海、街。



駅からは全てが一望できた。



着いた…
やっと、この場所に。



ここからの景色を眺めると、いつも想う。
心がくすぐられるように、うずめきだす…




花音…ただいま。
帰ってきたよ―……。




左手に持っていた砂時計を強く握りしめる。
想いが届くように…




ねぇ、花音?
ちゃんと歓迎してくれてる?




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