キミ色
駅から5分程の道を歩き、久々に実家の玄関を開ける。



「…ただいま。」



小さな声で呟いたのに、リビングから直ぐにお母さんが出てきた。



「櫂くん!おかえりなさい。疲れたでしょう?」



そう言うと、顔をくしゃっとさせて笑った。
久しぶりのお母さんの笑顔。



その笑顔は少し花音を想わせる…
やっぱり、少し面影があるんだ。



「うん…、少し寝るよ。」



靴を脱ぎそう言うとすぐに階段を上った。
本当は疲れてなんかない。




ただ、親父に会いたくないだけ。
反抗期って訳でもない…、ただ親父のことは小さい時から大嫌い。




隣の部屋の扉をちらっと見て、自分の部屋に入った。
1年ぶりの俺の部屋。



部屋はマンションとは比べものにならないほど、綺麗なままだった。



青いベッドにダイブする。



はぁ…
落ち着く。



良くここで花音と話した。
いっつも勝手に俺の部屋に入ってきて…




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