キミ色
「………………」





言葉なんて出なくて…
止まってしまった思考の中でただ浮かんできたのは花音の笑顔だった。




そしてその隣には当たり前のように時雨がいる。




そりゃそうだよ。
花音の隣は時雨の特等席なんだから…





なのに…
それが違う……?





「…ごめん、櫂。…ごめん。」




どうして謝るの…?
違うよ、花音が好きだったのは時雨だ。




「…なに…言ってんだよ……、冗談きついって…」




「冗談でこんなこと言うかよ…」




「…そんな、……嘘だろ…」




信じれない。
信じることなんてできるハズがない。





「…嘘じゃない。…嘘なんかじゃない。」



「っ嘘だ!じゃあ何でお前と付き合ったりしたんだよ!?」




花音は時雨を選んだじゃないか。
時雨の彼女だったじゃないか。





それは紛れもなく、花音が時雨を愛してた証拠だろ…?







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