キミ色
虚しく寂しい空間が場を支配する。
少しだけ吹いてくる温い風だけが俺の身体を包んだ。





乱れた呼吸を整えると、時雨は低い声で言葉を紡ぎ始めた。



「すげー悩んで…悩んで悩んで―…、だけど言うって決めた。」




どうして…?




「俺…、お前に嘘つき続けられる自信なかったから―…」





嘘…?
何が嘘?何が本当?



もう…訳が解らない―……





「櫂までいなくなったら、俺自分失いそうで…」




儚く笑う時雨。
その表情が余計に胸を占領する。





胸がはちきれそう…
何かに押しつぶされるかのように。




「…櫂、これ―…」




時雨は静かにそう言うと目の前に白い便箋を見せた。





“時雨へ”





黒いペンで書かれてあったその文字は、紛れもない…、花音の字体だった―…




「俺が花音から貰った最初で最後の手紙…誕生日プレゼントについてたんだ。」







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