キミ色
「なんで…」




そんな大事なモノを―…





「俺宛だけど、これは櫂宛の手紙だと想うから…」




そう言ってまた時雨は俺に笑って見せた。



「…時雨くん―…。」



小さく呟く空羽。
なんとなく、空羽の気持ちが俺と全く同じな気がした…







そんな風に笑うなよ…
時雨、無理に笑わないでよ…




時雨は俺の手に無理矢理手紙を入れて、すっと手を放した。




「じゃあ俺、ばあちゃんの手伝いあるから!」



笑う時雨。
少し小さくなる時雨の目…




その言葉を言うと、時雨は俺の前を遮って行ってしまった。




何も言えなかった…
何1つ言葉が浮かばなかった…




時雨の背中すら見れなくて、ただただ手紙をぎゅっと強く握っていた。









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