キミ色
「なんだ、、、そっか。」




全身の力が抜けたように、少し笑いながらぺたんと潰れていく時雨。
そんな時雨を空羽は心配そうに手で支えた。




「大丈夫?時雨くん、、」


「あぁ…ごめん。俺帰るわ」


「…っ送るよ!!」



小さな空羽は心配そうに立ち上がり、真面目にそう言う。



「っはは。女の子に送ってもらうわけにいかないでしょ?」



苦笑いを浮かべて時雨は立ち上がると、俺の顔を見ずに空羽の頭を撫でてリビングを出て行った。




「あ!…ねぇ!待ってっ」




慌てて追いかけていく空羽を俺は止める事も出来ず、じっと見つめていた。
散乱した部屋の中、俺は壁にもたれ1人取り残された。




何でこうなるんだよ…
ふと床に目線を合わすと、そこには転がった砂時計があった。




さらさらとした砂が薄く広がる。
1番大切にしていた砂時計が、今床の上に無造作なまま置かれていた。




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