キミ色
「櫂…」




時雨を送りとどけたのか、戻ってきた空羽が俺の目の前にちょこんと座った。
やはりさっきと同じ心配そうな表情が戻っていない。




「ん?」


「ねぇ、何でこんなことになっちゃったの?」


「─……」


「ねぇ、空羽のせいで時雨くんと喧嘩しちゃった?」


「─……」




何もいえなかった。
俺は空羽に何て言えばいいのか分からなかった。




元はと言えば、時雨にちゃんと説明しておけば良かっただけなのに。
それを言い出せなかった俺もいて、、、



何ですんなりと時雨に言わなかったんだろう?
いや…、言えなかったんだ。



お前が、、空羽があまりにも花音に似過ぎてて簡単に手放せない。
もしも、万が一花音のようになってしまったら…



そんな気持ちが俺の胸にずっと纏わりついていた。
別に、恋愛感情なんかじゃない。
ただ─…、ほっとけない。




自由に手放してしまったら、間違った道を進んでしまいそうで。




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