キミ色
何も言わない俺をよそに、空羽はリビングを片付け始めた。
床に落ちている本や、リモコンが空羽によって次々と机の上に並べられていく。




そして、あの砂時計も空羽の手によって棚の上に戻された。




空羽は一通り綺麗にすると、さっき落としてしまったスーパーの袋を手にとって冷蔵庫に入れ始めた。




何も聞かない空羽。
何も言わない俺。



重たい空気が俺達の間を埋めていた。



俺は動くこともせずにただずっと座っていた。
何もする気になれない。




「はぁ…」




溜め息をついたのは空羽だ。
首だけ空羽のいる台所の方に向けると、空羽は顔を下に向けていた。




そんな空羽に何の言葉もかけてやれない俺はゆっくりと目を閉じた。



結局、空羽を守ってやるのは俺じゃないのかもしれない。
最初は守る気なんてさらさらなかったのにな、、




空羽が花音と被って見えるようになってから、勝手に守ってやろうなんて思ってた。
でも、神様は俺の見方じゃないんだな。
結局、空羽も花音も守ってやれるのは時雨だけ…。




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