キミ色
「…櫂?」



囁くような声に目を開けると、目の前には切なく笑う空羽がいた。



「はい、どうぞ」



笑顔でそう言うと、空羽は俺に初めて見る蒼いコップを持たせた。
少しだけ飲み口が欠けている。
中には2、3個氷の入ったレモンティーが入っていた。




「─……」


「あぁ…、あのね、いっつも飲んでたコップ少しかけてたから、新しいの買ってきたんだけど、、、。」



「─……」



「帰る時手すべって落としちゃって…、結局またかけちゃった、、、」




少し苦笑いを含みながら、嘘をつく空羽を見るのは苦しかった。
本当はさっき、リビングに入って来たときに割れてしまったんだろう。



「あたし、疲れちゃったから…もう、寝るね?」




最後にそう言うと空羽は立ち上がり、自分の部屋に戻っていった。
手の中に残る蒼いコップ。




また、お前はそうゆうことをする。
どこまで、お前はお前は─…。




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