キミ色
「おい、どした?櫂?」


篠先輩が台所まで歩いてきたので、俺は何もないフリをして篠先輩を台所から遠ざけた。


「何もないっすよ…、、」


苦笑いをしてコップを机の上に置くと、俺は空羽の部屋の鍵を閉めた。
流石に先輩にまでバレるのは良くない。



「なぁ、お前やっぱバスケやんない?」



篠先輩がどこか息苦しい空気を払おうとしたのか、また勧誘作戦を実行している。



勿論、俺の答えは変わらない。



「やらないっすよ…」



「何だよー!お前ノリ悪いなー」



「そんなんじゃなくて、本当に俺はもうバスケはやらないっす」



少し和やかな雰囲気になってきた時に、翔夢先輩が口を挟んだ。




「その理由は、ただの理由じゃないってことか。」




「─……。」




「は?どういう意味?」




篠先輩は不思議そうに翔夢先輩を見ている。



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