キミ色
翔夢先輩には、何かを見透かされているように感じる。
いつも冷静沈着で…
でも、かと思えば急にバカになるし、、



俺にとって一番不思議な人であり、一番危険な人でもあるのが、翔夢先輩だ。



俺は動揺を何とか隠すために、レモンティーを口に含んだ。
篠先輩は未だに不思議そうに俺を見つめている。



「でもさ、俺達この夏の試合で引退だしさ…。俺的にはさ、櫂が入ってくれたら2年生にも良い刺激になると想うんだ?!」


バスケのことになると、何故か頭が働くのが篠先輩だ。
翔夢先輩は篠先輩の言葉など、全く聴いていないように見える。
さっきから、テレビの中に居るニュースキャスターを見続けている。



「いや、でも…俺はもうバスケは、、、」


「そんな事言うなって!!せっかく俺等がこうやって家まで来てやってんのに」


この頃、勧誘来てなかったのに。
この時になってあまりに急な展開に頭がついていけない。



「とりあえず、俺は入りません。」



「なぁ、櫂!!俺等心配なんだよ…。3年が抜けた後の2年がさ」


そう篠先輩が言った時、翔夢先輩がテレビを消した。


「篠、むりだな櫂は。櫂がバスケをやりたくないのは上下関係じゃない。いくら俺等が抜けたところで、こいつの気持ちは変わんねぇよ。」



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