キミ色
それから、3人ともあの話は避けつつ、とりとめのない話をし続けた。
気付けば、陽は東に傾き部屋がオレンジ色に染まり始めていた。



「じゃっ、そろそろ帰るか?」


翔夢先輩がそう言ったので、篠先輩も立ち上がり、玄関に向かった。
俺も2人について玄関まで見送る。


扉を開けると、翔夢先輩は一瞬止まりこっちを向いた。



「櫂、最後に決めるのはお前だから。」



俺は翔夢先輩の最後の言葉を噛み締め、深く頷いた。


─ガシャンッ…



扉が閉まった音が俺の部屋に響き、俺はまた孤独になった。
先輩達が散らかしていった俺の部屋は、どことなく寂しげに見える。


“最後に決めるのは…”
“お前にとって時雨は…?”
“あいつの表情変えれんのは…”



ソファに寝転がりながら、翔夢先輩の言葉を反芻していた。



「はぁ─…」



自然と出てしまったタメ息を消すように、俺は寝返りを打った。


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