キミ色
その時雨の顔に耐えられなくなった俺は、自分から話しかけた。



「なんだよ?」


時雨は深刻そうな顔を崩す事無く、俺を見ていた目を下に向けた。


「なぁ、櫂…」


「ん?」



俺はレモンティーを一口含み、時雨の言葉を待った。
内心本当はドキドキしていた。
次に時雨から何を言われるのか、、不安でたまらない。



蓮を否定するのか?
何よりも曲がったことが嫌いなお前が、この関係をいいと想う訳がない。
そんなことを分かってるからこそ、俺は時雨の言葉が怖かった。



実際、俺の心の中にも、正直そう想う部分がある。
1度別れて、また付き合う…
そのことを、俺の心の隅っこで否定している部分があった。



でも、蓮の場合は違うと自分に言い聞かせてきた。
結局、蓮と俺は別れても互いに想い合っていたんだから…。
そんなことを理由にして。




でも、時雨の口から出てきた言葉は意外なものだった。



「…お前が蓮と付き合ったのは、俺の為か、、?」



蓮と付き合ったのが、時雨の為…?



「は…?何で?」



そんな訳がない。
時雨の為に何で俺が蓮と付き合わなきゃいけないんだ?



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