キミ色
「当たり前だろ。それより、どうやって行く気なんだよ海なんて?」


手を強く握りながら、俺は暗い雰囲気を払いたくて話題を変えた。
蓮の左手から少しずつ震えが消えていっていたのが、俺を冷静にしてくれる。



「あたしの体、本当に正直すぎるよね…、なんか安心してきた。
電車で行くの、行ったことあるんだ。」



「…ご両親、、と?」



控えめにそう聞くと、蓮はゆっくり頷いた。



あの表情の意味が、なんとなく分かった気がした。
やっぱり…、お前は恐れていたんだね…



「聡、行ったことないの。だから、行かしてあげたくて。あたし達、家族の想い出の場所に…」



「そっか、、。」



「遠いんだけど、本当にいいの?」


蓮はそう言って、下を向いてしまった。
その表情は不安で溢れている。


そんな蓮に俺は笑顔を見せた。
お前を闇から救ってやりたくて…



「何言ってんだよ?蓮が行きたい場所だったら、俺は何処でもついて行くよ。」



すると、お前はまた可愛い笑顔を覗かせてくれたよね…。
そして、最後に小さい言葉で呟いてくれたんだ。




「…ありがと。」


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